「ヒノエ君何やってるの?」
番外編 情勢
最近仕事が忙しくて会えなかったヒノエ君が珍しくお昼時に帰ってきたと女房さんに聞き、
会いに行ったら彼は縁側に腰掛けて何やら考え込んでいた。
「どうかしたの?」
「やあ、姫君。ちょっと色々あってね」
ヒノエ君はそう言って、また考え込み始めてしまった。
一体どうしたというのだろう。
彼は大抵何かあると誤魔化したり、はぐらかす事が多いのだが、
今回はそれが無い。
「ヒノエ君、ホントにどうしたの?」
ヒノエ君は私を見て、「ま、いいか」と呟いて話してくれた。
「今平家と源氏が争ってるだろ。
それで、熊野は中立の立場だが結局はどちらかにつかなくちゃいけない。
その場合、一体どっちにつくべきかを考えてたんだ」
熊野は、平家にも源氏にもゆかりのある場所だから。
どっちについても泣く者がいることをヒノエ君から聞いていた。
ヒノエ君の決断は熊野全体に関わってくる。
だからこそ彼はこんなにも悩んでいるのだろう。
「ねぇ、そんなにすぐに決めなくてもいいんじゃない?
周りの情勢を見て、どちらが良いのか決めればいいじゃない。
勝てない戦はするべきじゃないよ。
情勢は移り変わるものだから、焦って決めるのはいけないと思う」
するとヒノエ君は驚いた顔をした。
私は自分の言ったことを後悔した。
「ごめん!何も分かってないのに、偉そうな事言って!!
さっきの発言は忘れて!」
私が慌てふためくと、ヒノエ君が笑い出した。
何故ヒノエ君が笑い出したのか私には分からない。
「あの・・・ヒノエ君?」
「ごめん、ごめん。
そうだよな。確かに、勝てない戦はするべきじゃない。
ありがとな、。
参考になった。きっとお前はいい軍師になれるよ」
そう言った彼はすっきりした顔をしていて、私の頭を撫でた。
その日もう仕事が無かったらしく、久しぶりに色々な話をした。
戻る
+++++++++++++++++++++++++++++++++++
掘り出し物第二弾。
この発言のせいで、春に彼は六波羅へ行ったのです。