パス練が終わり、監督のお遊びが始まった。
5対5のミニゲーム。普通のミニゲームとは違い、ポジション関係なしのもの。
この練習の目的は「考えるプレー」
本来のポジションにこだわっていると混乱するゲームだ。
俺はこの練習のとき風祭で遊んでやった。
あいつのプレーは素直すぎて逆に動きが読みやすい。
練習が終わった後、俺は風祭を待ち伏せした。
やってきたあいつに「上手くなりたいか?」と聞くと、真剣な顔で「うん!」と言う。
こいつはきっとすぐに上手くなる。
余計なプライドがないからな。
だから俺は教えてやった。ムダなアガキってやつを。
「・・・上手くなるのに近道はねえ。
3日間でできるようにはならねえが、やらねえよりはマシなはずだ」
やり方を一通り説明すると、 風祭は笑顔でお礼を言う。
俺は思わずあっけに取られた。
風祭と別れて、飯を食べに行こうとすると知ってる奴の声が聞こえた。
覗いてみるとそこにはともう一人のマネージャーが居た。
「あんた何様のつもり!?いろんな人にちやほやされてるからって、いい気になってんじゃないわよ!!」
「別にちやほやされてる覚えはないけど?」
「はあ?武蔵森の三上さんと一緒にご飯食べて、翼君たちと話したりして。
これの何処がちやほやされて無いって言うの!?」
「友達だもの。別に一緒にご飯食べたり、話したりするのは普通だと思うけど。
ていうか、そこまで貴方に言われる筋合いはないんだけど」
そう言って、はため息をつく。
さすがのも呆れかえっている。
女って怖ぇ〜。
「あんたマジムカつく!!」
バシッ!!
「ふんっ!」
マネージャーは走り去る。
そいつが見えなくなると、は大きくため息をついてこっちを向いた。
「はぁ〜、とっとと出てきたら?」
「気付いてたんだな」
苦笑いをしてに近寄る。
「頬大丈夫か?」
「うん、ちょっとヒリヒリするくらい」
そう言って、も苦笑いをした。
俺には無理して笑っているのが分かった。
泣きたいのを我慢しているような、そんな感じだった。
「、大丈夫か?」
「平気だよ。相手は女の子だからそんなに痛くなかったし。全然大丈夫」
「本当に?」
そう言うと一瞬だけが息を詰まらせたのが分かった。
何も言わずじっと見つめていると、諦めたのかは大きくため息をついて肩にもたれかかってきた。
「・・・・本当は・・・ちょっと辛い・・・かも。あそこまで、言われちゃうとね」
俺はの頭を優しく撫でてやった。
の髪はさらさらでとても触り心地が良かった。
「泣いとけよ。今は俺しか居ないし」
「吐き出しとかないと後々きついぞ」と言うと、は静かに泣き始めた。
が素直に自分の気持ちを表に出すとは思わなかった。
相手が翼ならまだしも。
それだけは弱っていたことに気付かされた。
俺はが泣き止むまでずっと頭を撫でてやった。
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柾輝視点で。
いくらヒロインでも、あそこまで言われたら多少は凹むのです。
どうでもいい人に言われたからといって、心が痛まないとは限らないのです。