何でここに居るの!?
















番外編  邂逅


















部活が珍しく休みで一日自由な日となったある土曜日。
町をぶらぶらしながら歩き、本屋に立ち寄った。



確か、サッカー雑誌はこっちだったよね・・・
・・・あっ、あった。



それを取ろうと手をのばすと、反対側から誰かの手が伸びてきてぶつかった。


「「あっ、ごめん(なさい)」」


声がハモったのと同時に相手の顔を見る。
は相手の顔を見た瞬間固まった。



・・・なんで居るわけ?・・・



凝視していると、相手がにっこりと笑う。
それを見てはっと正気に戻った。



落ち着け自分。とりあえずここはどうにかしなくちゃ・・・



と考えながらも、もう一度ごめんなさいと言って、つい逃げてしまった。



わーん、ワケわかんないよ〜・・・
マジで何で居るの!?!?



本屋から出て、近くの公園に入った。
傍にあったブランコにドカッと座り込み、ため息をつく。


「びっくりしたよ〜・・・」











「いきなり逃げられた僕もビックリしたけどね」












ばっと公園の入り口を見るとそこにはさっきの人が居た。
目が合うと彼はにっこり笑って、こちらに近づいてくる。


「何で・・・?」
「いやさ、とっさのことで驚いたけど、手がぶつかっただけのことで逃げられたようには見えなかったからさ。
なんかあるのかな〜と思って」



・・・勘が鋭い。
さすが彼のイトコ・・・



「僕は李潤慶。君は?」
「・・・。・・・李君って英士の知り合い?」(知ってるけど)
「ああ、ヨンサの知り合い?あっ、ヨンサっていうのは英士の事ね。
ヨンサと僕はイトコなんだよ。あと僕のことはユンでいいよ」
「あたしもでいいよ。・・にしてもイトコか。
そりゃ似てるワケだね。けど、李君って日本人じゃないでしょ」
「正解。韓国人だよ」
「じゃあ英士ハーフかなんか?」
「うん、そうなるね」
「道理で綺麗な顔してるんだね。羨ましいわ」


の言葉にユンは驚いた顔をする。



・・・なんでそんな顔するのよ。あたし変なこと言った?
英士がハーフっていうのは知ってたけど、会ったときほんとに綺麗な顔だと思ったんだもの。
あたしなんかよりよっぽど綺麗だし、・・・憎らしいわね。
それにユンも何気に綺麗だし・・・ほんと羨ましいわ。



そんなことを考えているといきなりユンが笑い出した。
はビクッと身体を震わせ、ゆっくりとユンを見る。


「・・・どうしたの?」
「ははっ・・いや・・・なんでも・・・ない・・よ・・・くっ、ははは」
「いや、笑いながら言われても説得力ないから」


が言うと何故かユンはまた笑い出した。


「・・・・・・バイバイ」


はブランコから降りてその場を離れようとすると、ユンは慌てての腕を掴んで止める。


「ごめんごめん。怒んないでよ」
「・・・別に?怒ってなんかないわよ」
「怒ってるじゃん」
「何?」
「何でもないです」


はユンの様子を見てため息をつき、またブランコに座る。
すると隣にユンも座った。


「いやさ〜。普通他の国の血が入ってるって聞いて『道理で顔が綺麗なんだ』って言われるとは思わなくって。
それに『羨ましい』って・・・」


ユンはさっきのことを思い出したのか、また笑い出した。
はそんな彼を無視しながら、平然と答えた。


「何処の血が入ってようと英士は英士。別にどうだっていいと思うけど?」


の言葉を聴いて笑うのを止めたユンは切なそうな顔をする。


「・・・は凄いね。でも、そう思わない人はいっぱい居るよ」
「・・・それはそうでしょ。人なんていっぱい居るんだし。
同じ考えの人も居れば、違う考えの人も居る。当たり前じゃない。
ようは本人がどう思うかでしょ?それをどう思うかはさ」


はあっさりと肯定する。


「まあ、そうだね。・・・みたいな人がたくさん居れば英士も傷つかないのにね」
「傷つくのはユンも同じなんじゃない?」


ユンは驚いた顔をする。
は気にせずに話を続ける。


「韓国に居るときはそんなことないだろうけれど、日本に居るときは違うでしょ?
物珍しい目で見られたり、怪訝そうな顔されたりしたんじゃない?」


「まあ、そういう国だから仕方ないけど。特に子供なんてひどいんじゃない?
子供は無邪気だからね」


「・・・は大人なんだ?」
「まさか。子供よ、子供。
全然大人なんかじゃないわ。大人だったら笑われたくらいで怒らないわよ」
「やっぱり怒ってたんじゃん」
「お黙り。とにかく、英士は英士、ユンはユン。それでいいでしょ。
他人がとやかく言おうと私はそう思ってるからいいの」


そう言って立ち上がり、背伸びをする。
呆然として見ているユンと目が合ったので何気なく笑ってみた。
すると、ユンから思いがけない言葉をもらった。


「・・・僕、に会えて良かった」
「へ?」
「ありがとう、


にっこり笑うユンがあまりにも綺麗で、はつい固まってしまった。
自分の顔に熱が集まるのが分かる。


?」
「何でもない!」


顔を見られないようにユンに背を向ける。
すると、ユンが後ろから抱き付いてきた。


「ちょっ、ユン!?」
、大好き」


いきなりの告白にさらに顔が熱くなる。



何言ってんのよこの子は!
・・・落ち着け自分。友達としてなんだから。
loveじゃなくてlike・・・


が心の中で暗示をかけているとユンが口を開く。


「にしても、英士はいいなぁ・・・こんな友達持っててさ」
「何言ってんの?ユンももう友達でしょ」


当たり前なことを言われて思わず即答してしまった。



・・・友達だと思ってたのは私だけ?



何の反応も示さないユンにちょっと不安になった。
だが、それはすぐに打ち消される。


「そうだね。・・・僕やっぱりのこと好きだな」


そう言ってユンが抱きしめる力を強めたのだ。
ユンの言葉と抱きしめられてるのが恥ずかしくなって、腕の中から逃れようともがく。


「〜〜〜っ、いい加減離れて!」


なのにユンはさらに抱きしめる力を強め、また顔を赤くする羽目になった。






















あの後、何とかユンの腕から逃げ出し、そのまま公園でユンと知り合うことになった雑誌を一緒に見ることになった。



・・・雑誌持ってたの気付かなかった



雑誌を見ながらユンは分からないところとかを教えてくれた。
ユンの説明は分かりやすくて、そういうところは英士と似てるなって思った。





一緒に雑誌を見ていると、いつの間にか夕方になっていた。
するとユンはその雑誌をくれて、しかも駅まで送ってくれた。
別れ際に携帯の番号を交換し、家へと戻った。
すると、翼が出迎えてくれた。


「お帰り、
「あっ翼、だたいま〜」
「あれ?その雑誌・・・サッカーの?」
「うん」


雑誌を見て今日あったことを思い出し、顔を赤くする。
そんな様子に翼は不思議そうな顔をする。


「・・・どうしたの?」
「ううん、何でもないよ」
「ふーん。もうすぐご飯だから荷物置いてくれば?」


翼は深くは追求せず、は赤くなった自分の顔を必死に冷ましながら自分の部屋へと向かった。
の様子を見て翼は眉間にしわを寄せたが、とりあえずその場をあとにした。



















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英士のこととか、色々と突っ込みたいところ満載だと思いますがあえてスルーでお願いします。
私の中では英士はハーフということで。

もしユン視点を読みたいという方がいらしたらこちらからどうぞ。