番外編 邂逅 〜ユン視点〜
たまたま日本に遊びに来ていた僕は町をぶらぶらしながら本屋に立ち寄った。
サッカー雑誌のところに真っ直ぐ向かい、雑誌を取ろうと手をのばすと、反対側から誰かの手が伸びてきてぶつかった。
「「あっ、ごめん(なさい)」」
声がハモり相手の顔を見ると、それは女の子だった。
その子は僕の顔を見た瞬間固まった。
理由が分からなかったけど、とりあえず笑ってみるとその子はもう一度ごめんなさいと言って、逃げていってしまった。
呆然としたけど、とりあえずさっきの雑誌を買って彼女を追いかけた。
本当はそのまま気にしなければいいんだろうけど。
目が会ったときの彼女の顔がなんか気になった。
本屋から出て、彼女の向かった方へと走っていくと、彼女は公園のブランコに座っていた。
彼女はため息をついて「びっくりしたよ〜・・・」と言った。
「いきなり逃げられた僕もビックリしたけどね」
声をかけるとばっとこちらを向いた。
目が合いにっこり笑い、彼女の元へ行った。
「・・なんで・・・?」と小さな声で呟く。
「いや〜とっさのことで驚いたけど、手がぶつかっただけのことで逃げられたようには見えなかったからさ。
なんかあるのかな〜と思って」
すると彼女は一瞬驚いた顔をした。
その意味は分からなかったけど、とりあえず自己紹介する。
話していて彼女が英士の知り合いだということが分かった。
だから僕の顔を見て驚いたのかな?結構僕達似てるし・・・
でも、他になんかある気がする。
英士の話になって、つい英士がハーフって言うことを話してしまった。
すると彼女は「道理で綺麗な顔してるんだね。羨ましいわ」と言った。
まさかそんなことを言うとは思わなかった。
はそのまま考え込み始めて、顔をしかめたり百面相とは言わないけれど表情をころころと変えていた。
彼女を見ていると深い意味はなかったことが伺えて、笑いが込み上げてきた。
笑い始めると止まらなくて、いきなり僕が笑い始めたことに驚いてはビクッと身体を震わせる。
「・・・どうしたの?」
「ははっ・・いや・・・なんでも・・・ない・・よ・・・くっ、ははは」
「いや、笑いながら言われても説得力ないから」
彼女の言葉に笑いがさらに押し寄せてきて笑っていると、「・・・・・・バイバイ」と言ってがブランコから降りてその場を離れようとした。
僕は笑うのを何とか止めて、慌てての腕を掴んで止める。
「ごめんごめん。怒んないでよ」
「・・・別に?怒ってなんかないわよ」
「怒ってるじゃん」
「何?」
「何でもないです」
僕が反論するとの声がちょっと怖くて反射的に謝った。
は僕を見てため息をつき、またブランコに座る。
僕も続いて隣のブランコに座った。
「いやさ〜。普通他の国の血が入ってるって聞いて『道理で顔が綺麗なんだ』って言われるとは思わなくって。
それに『羨ましい』って・・・」
さっきのことを思い出したらまた笑えてきた。
はそんな僕を無視し、平然と答えた。
「何処の血が入ってようと英士は英士。別にどうだっていいと思うけど?」
の言葉は純粋に嬉しかった。
そう思ってくれる人が英士の近くにいてくれてよかったとも思った。
「・・・は凄いね。でも、そう思わない人はいっぱい居るよ」
「それはそうでしょ。人なんていっぱい居るんだし。
同じ考えの人も居れば、違う考えの人も居る。当たり前じゃない。
ようは本人がどう思うかでしょ?それをどう思うかはさ」
「まあ、そうだね。・・・みたいな人がたくさん居れば英士も傷つかないのにね」
「それはユンも同じなんじゃない?」
英士の話をしていたのに、いつの間にか僕の話になった。
「韓国に居るときはなんともないだろうけれど、日本に居るときは違うでしょ?
物珍しい目で見られたり、怪訝そうな顔されたんじゃない?」
確かにそうだった。2年間日本に住んでいたときよくそんな目で見られた。
遠巻きに見られたり、目が合うと怪訝そうな顔されたり・・・
凄く嫌だった。日本人じゃないってだけで、そんな態度を取られるのははっきり言って不快だった。
「まあ、そういう国だから仕方ないけど。特に子供なんてひどいんじゃない?
子供は無邪気だからね」
「・・・は大人なんだ?」
「まさか。子供よ、子供。全然大人なんかじゃないわ。
大人だったら笑われたくらいで怒らないわよ」
「やっぱり怒ってたんじゃん」
「お黙り。とにかく、英士は英士、ユンはユン。それでいいでしょ。
他人がとやかく言おうと私はそう思ってるからいいの」
はそう言って立ち上がり、背伸びをする。
彼女は自分は大人じゃないと言ったが、僕は大人だと思った。
あまり年がかわらなそうなのに考え方が大人な気がした。
呆然として見ているとと目が合い、すると彼女はにっこりと笑った。
それがあまりにも綺麗でつい見惚れてしまった。
「・・・僕、に会えて良かった」
「へ?」
「ありがとう、」
笑うとが固まった・・・気がした。
「?」
「何でもない!」
の顔は見れないけど、耳が赤いのが見えた。
僕は嬉しくなって、後ろからに抱きつく。
「ちょっ、ユン!?」
「、大好き」
僕の言葉にの顔はリンゴみたいに赤かった。
このまま別れるのはもったいない気がして、それと同時に英士が羨ましくなった。
「にしても、英士はいいなぁ・・・こんな友達持っててさ」
「何言ってんの?ユンももう友達でしょ」
が当たり前のように言った。
一瞬呆然としたが、嬉しくって抱きしめる力を強める。
「そうだね。・・・僕やっぱりのこと好きだな」
「〜〜〜っ、いい加減離れて!」
腕の中でもがくが可愛くって、さらに抱きしめる力を強めた。
あの後、一緒に雑誌を見て雑談した。
はサッカーのマネージャーをしているらしい。
分からないことを聞いてくれるのは、頼りにされてるみたいで嬉しかった。
夕方になってしまい別れるのが名残惜しかったが、携帯の番号を交換して駅まで送っていった。
そして泊まっている英士の家へと戻る。
「ユンおかえり」
「ヨンサ〜ただいま〜」
「・・・ユン、なんかあった?」
ヨンサが不思議そうに言う。
「何で?」
「なんか機嫌がいいから」
「何それ?僕が機嫌がいいと可笑しいの〜?」
僕が口をふくらまして言うと、ヨンサは呆れた顔をした。
「別にそういうわけじゃないよ。珍しいって言ってるの」
「ふ〜ん。いい事ね、あったよ。すっごく良いこと」
「何があったの?」とヨンサが聞いてきたけど、「内緒だよ〜」と言って誤魔化した。
これは僕ととの秘密。
ヨンサにだって教えてあげないよ。
戻る
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ユン視点完了。
とりあえず、韓国で会う前に出会ってたということで。
もうほんと突っ込みどころ満載ですが、スルーしてください。
にしても、番外編なのに嫌に長かったな。
ヒロイン視点を読みたい方はこちらからどうぞ。