「ちゃん?」
私が固まっていると、目の前にいる西園寺玲さんが不思議そうに尋ねてきた。
「あ、何でもないです!」
私は苦笑いしながら答えた。
西園寺さんは気にしてなかったようで、深く追求はしなかった。
「私は西園寺玲よ。玲って呼んで。貴方と同じでここに居候してるの」
「です。よろしくお願いします」
「よろしくね。ご飯だからリビングに行きましょ。
それから敬語じゃなくて良いわよ。これから一緒に住むんですから」
そう言って、私たちはリビングに向かった。
中に入るとかわいらしい少年がソファに座ってテレビを見ていた。
私たちに気付いたのか、少年はこちらを見た。
「あんたが?」
「あっ、はい・・・」
「ふーん。俺は椎名翼ね。翼で良いから」
「です。よろしくお願いします」
軽くあいさつをし終わると、翼はまたテレビを見始めた。
「翼、もうご飯だからね」
「分かってるよ」
そして皆でご飯を食べた。
翼のお母さんもお父さんもいい人だった。
部屋に戻ると私はくたくたになってベッドに倒れこんだ。
なんか・・・疲れたよぉ・・・
とある家って翼の家だったのね・・・・
普通に言ってくれればよかったのに!
それに何で英士の学校?翼の家に居候するなら普通飛葉中じゃないの?
私はあの手紙について考えてた。
ふと、今日のことを思い出した。
それにしても、玲さんは交友的だったけど翼は微妙だったなぁ・・・
どうせなら仲良くしたいけど、できるかなぁ・・・
そんなことを考えてると、ドアがノックされた。
返事をすると、さっきまで考えてた人物が入ってきた。
「風呂空いてるから入れば?」
「あっ、はい。分かりました」
私がそう言うと翼は眉間にしわを寄せた。
「あんたさ、何で敬語なの?」
「えっ、いや・・・その・・・」
「何、言いたい事があるならはっきり良いなよ」
「初対面でいきなりタメ語は失礼かなと思いまして。
それに翼さんのが年上だし・・・」
「何で俺のが年上って知ってるの?」
しまった!!
思わぬ失言にまずいと思ったが、ここはポーカーフェイスでごまかした。
「玲さんに聞いたんですよ」
「ふーん。まぁいいや。とりあえずこれからは家族なんだから敬語じゃなくていいから。
それから「翼さん」じゃなくて「翼」。分かった?」
「はい・・・じゃなくってうん。ありがとう翼」
私は思わず翼の言葉が嬉しくて笑顔で答えた。
すると、翼は目を見開いた・・・様な気がしたが、一瞬だったのでよく分からなかった。
「じゃ、とっとと入りなよね。おやすみ」
「おやすみなさい」
翼は部屋から出て行った。
肩の力が抜け、またベッドに倒れこんだ。
いきなり驚いた。
でも、家族・・・か。
まさか翼からそんなこと言ってもらえるなんて嬉しかった。
私はお風呂に入り、やはり疲れていたのかすぐに眠ってしまった。
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