私は家に帰ると部屋に閉じこもった。
・・・今のところ根本的な話の内容は変わってない。
桜上水が勝って、飛葉が負ける。そうならなきゃいけないんだ。
私が手出していい事なんかじゃない・・・―――
なのに、なんでこんなに苦しいの・・・?
私はベッドの上で蹲る。
試合が終わり解散するまでの皆の様子が頭の中でよぎった。
皆悔しそうで、泣いたり落ち込んだりしている人がほとんどだった。
私は知っていたのに変えなかった。
せめてサポートすることぐらいしかできなかった。いや、しなかった・・・
変えてしまった時、一体どんなことになるのか分からなくて、怖くて―――
蹲りながらそんなことを考えていると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
顔を上げると、「俺だけど、入っていい?」という声が聞こえる。
「どうぞ」と答えると翼が中へと入ってきた。
「どうしたの?」
「別に。ただの様子が変だった気がしたから見に来ただけ」
私は翼の言葉に目を見開く。
できるだけ平静を保っていたつもりだったのに、まさかばれてたとは思いもよらなかった。
だが、驚きはしても顔には出さずに平然と答えた。
「気のせいじゃない?翼今日の試合で疲れてるでしょ。
早く休んだほうがいいよ」
「誤魔化すなよ」
「誤魔化してなんかないよ。本当何でもないって」
「ならどうしてそんな顔してんだよ」
翼は私に近づき、頬を撫でる。
壊れ物を扱うような優しい手つきに思わず泣きたくなった。
手が離れたと思ったら、今度は頭を優しく撫でられた。
その暖かい感触に涙が頬を伝う。
「あれ・・・?な、んで?おかしいな・・・」
涙を止めようと目を擦る。
すると翼は私の手を掴んで止め、優しく抱きしめる。
「今は泣きなよ。俺以外誰も見てないからさ」
翼の言葉に本格的に涙が出てきて、ボロボロと涙が零れ落ちる。
私は声を殺しながら泣き続けた。
「・・・あ、れ・・・・・?」
目を覚ますと翼がいなかった。
「・・・・・・・翼?・・・・・・・・」
まだ頭が覚醒しなかった。
あれ?私何してたっけ?
えーと、確か・・・・・
・・・・・・・翼の前で泣いた?・・・・・・・・・
・・・・・恥ずかしい!何してんのよ自分!!
うわー、ヤバイ!!顔が熱くなってきた!!
顔が赤くなり、手で仰いで熱を冷ます。
やっと赤みがとれたと思ったときに翼が中へと入ってきた。
瞬間、私は自分がまた顔が少し赤くなったのが分かった。
落ち着け自分。
冷静に、冷静に。
一度深呼吸し、顔を上げると翼と目が合う。
すると今度は翼がほんの少し顔を赤くした。
あれ?翼の顔が赤い?
「、大丈夫?」
「あっ、うん。いきなり泣いてごめんね。
翼疲れてるのに・・・」
「見くびらないでよ。俺はそんなにやわじゃないよ」
「うん、そうだね・・・・・・・ねぇ、翼はさ・・・」
下を向き、一番聞きたかったことを口に出す。
「・・・今日の試合で負けたこと、後悔してる?」
「・・・後悔してないって言ったら嘘になるけど、良い試合だったと思うよ。
自分の力を出し切ってそれで負けたから悔いはそんなにない。
そりゃ作戦上ああすれば良かったとか反省する所はあるけど。
だから、今度は負けないように強くなる。
その為には皆でやっていくしかないんだ。
もちろんも含めて、だからな」
ばっと顔を上げると翼と目が合った。
あまりにも真剣な目なので、そらすことができない。
そして翼は笑顔で言った。
「は必要な人材だって事忘れるなよ」
瞬間また目頭が熱くなった。
泣かないよう我慢しながら、笑顔で返事をすると翼は笑いながら私を抱き寄せた。
「何泣いてんだよ」
「〜〜、泣いてなんかない」
「あはは」と笑いながら翼はまた頭を撫でる。
最初は意地を張って否定したが、徐々におかしく思えてきて二人で笑った。
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