グラウンドでは。
「ごめんなさ〜い」
亜矢子は猫なで声を発する。
どうやら休憩時間になってもタオルやドリンクを準備しきれなかったようだ。
そんな彼女にとうとう翼はキレた。
「アンタ遅いんだけど!こっちは疲れてるんだよ!!
マネージャーの仕事もまともにできないわけ!?なんでそんな奴がこの選抜合宿に来てんだよ!!
それに何なのその謝り方!!気持ちが全然こもってないんだよね!!!
本気で謝る気あんの!?それとも、あんたのその軽い頭には一般常識も備わってないわけ!?
あ〜あ、これだから嫌なんだよね。まあ、しょうがないか。
アンタみたいなのは男に媚を売ることしか頭に入ってないんだろうね!これだからミーハー女は嫌なんだよ!!」
「だって、さんが道具とかをどっかに隠しちゃって、見つけるのに時間がかかったんだもの」
「はあ?この期に及んでに責任を擦り付けるんだ?ってか、がそんなことするわけないじゃん!アンタ自分で何言ってるかわかんないようだね。
は「アンタ、まだ懲りてなかったんだ」
は松葉杖を突きながら、大きくため息をつく。
翼はの様子を見ると大きく目を見開き、驚いた顔をする。
他の選手も然り。
「あたしに迷惑かけるのはまだいいけれど、選手にまで迷惑かけないでくんない?
あたしたちマネージャーは彼らをサポートするために存在してるのに、逆に迷惑をかけているようじゃ居る意味ないじゃない。
ってか、昨日の時点でアンタの正体バレてんだから、そのぶりっ子やめたら?
似合わないし、キモイから」
「ああ?いきなり来て何言ってんだ?
お前こそこんな可愛い子になんて暴言吐いてんだよ!」
誰も口を挟まなかったのに対して、の物言いが気に入らないのか、何も知らない鳴海が批判し始めた。
「・・・ああ、アンタ昨日居なかったわね。なら、いいもの聞かせてあげるよ。
これを聞いてもまだそんなことが言えるかな?」
そう言っては携帯用のカセットデッキを取り出す。
再生ボタンを押すと、音が流れ始めた。
『〜〜〜あんた何様のつもり!?いろんな人にちやほやされてるからって、いい気になってんじゃないわよ!!
別にちやほやされてる覚えはないけど?
はあ?武蔵森の三上さんと一緒にご飯食べて、翼君たちと話したりして。
これの何処がちやほやされて無いって言うの!?
友達だもの。別に一緒にご飯食べたり、話したりするのは普通だと思うけど。
ていうか、そこまで貴女に言われる筋合いはないんだけど。
あんたマジムカつく!!
バシッ!!
ふんっ!
タカタカタカ・・・・・・』
このカセットの内容を聞いた亜矢子は顔色を真っ青にし、鳴海は気まずそうにして何も言わなかった。
さらには笑顔で
「ついでに写真もあるわよ」
と言って、数枚の写真を取り出した。
鳴海はからそれを受け取り、写真を見た。
するとそこには丁度が亜矢子に殴られるシーンが映し出されていた。
「鳴海くん、他に何か言いたいことはある?」
鳴海はぐっと息を詰まらせて、しぶしぶと言った感じで謝った。
は彼の様子に満足し、今度は亜矢子へと目を向ける。
亜矢子はと目が合った瞬間、びくっと身体を震わせ、目からは怯えの色が窺えた。
「何怯えてるの?全部貴女がしてきたことじゃない。
自分の行動には責任を取らなきゃね」
そう言っては松葉杖を突きながら彼女に近寄った。
亜矢子は笑顔で近づいてくるに、思わず一歩後ずさりする。
そしては目の前にやってくると、にっこり笑って・・・・・・・・
ドコッ ドサッ―――・・・・・
「やられたら3倍にしてやり返す。それがあたしのやり方だから。それが例え相手が女だろうと手加減しない」
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