マジでどうしよう〜・・・
会計が終わり、病院を出たまでは良かった。
そう、そこまでは。
「どうやって帰ればいいんだろう・・・」
来るときは車だったから道はわかんないし。
早苗さんには時間かかると思ったから、先に帰ってもらっちゃったし。
「あっ、携帯で連絡すればいいんだ!」
はバッグから携帯を取り出す。
電話帳を開いて、ふと思い出した。
「カズさん家の番号知らないじゃん・・・」
思わず近くにあった電柱にしがみ付く。
は大きく肩を落とした。
ああ〜、何で気付かなかったんだろう。
マジでどうしよう〜・・・
落ち込んでいると、救世主登場。
「そこで何んばしてんですか」
「え?」
振り向くとスポーツバッグを背負い、眼鏡をかけている少年がいた。
あ〜、もしかして・・・
「えっと〜・・・」
「俺はた「ショーエイ何やっとう?」」
「あっ、キャプテン」
言葉を遮られたのに嫌な顔一つしないのは、心が広いのか、天然か。(たぶん後者だな)
昭栄は(やっぱり昭栄だった)は気にした様子を見せず、キャプテンと呼ばれた人物がこちらに近づいてきた。
「この女の子ば様子がおかしかったとですよ」
昭栄はそう言ってこっちを指刺す。
はキャプテン――よっさんとばっちりと目が合った。
「どぎゃんしたとか?」
「・・・えっと・・・道に迷ってないけど、迷ってました」
「は?どういう・・・」
「おい!」
大きな声が聞こえて皆いっせいに振り向く。
「カズやないか」
「ヨシにショーエイか。こげんとこで何ばしよっと?」
「それはこっちの台詞たい。何でこげんとこおる?」
「今日は用事ばあるんじゃなかったと?」とヨッさんは不思議そうに言う。
「用事っちゅうんばこいつのこっちゃ」
「カズさんこの子と知り合いなんですか?」
「まぁな。こいつらはチームメイトの高山昭栄と城光与志忠ばい」
「高山昭栄ったい。ショーエイでよかです」
「俺はヨシでよか」
「じゃあ、昭栄とヨッさんで。あたしはです。あたしもでいいですよ」
そう言って二人と握手する。
「そういえば、何できさん敬語っちゃね?」
「えっ、だっていきなりタメ語は失礼かなぁと思いまして」
「別にいらんぞ。これから一緒に住むんやしな」
「えーーーーーーーー!!!!!」
「ショーエイせからしか!!!」
いきなり大声を出した昭栄にカズさんの飛び蹴りが炸裂。
昭栄は一瞬にしてのびた。
「カズ、どういうこっちゃ?」
ヨッさんも少なからず驚いているようで、弁明を求めてきた。
「あ〜・・・」
「あたしが説明するよ」
あたしは事の成り行きを話した。
「そうやったんか。も大変やな」
「そう?」
彼らには怪我をしたこと、手術をしなくてはいけないこと、その為にカズさんの家に居候することを話した。
「なぁ」
「ん?」
「どないしたんや?カズ」
カズさんは顎に手を当てながら言った。
「なして足怪我したと?」
「あ〜、言わなきゃダメ?」
「言いづらいことなんか?」
「いや、そんなことはないんだけど・・・」
「じゃあ何や?」
「あたしサッカーのマネやっててさ」
「なぬ!?さんはサッカーのマネやったとですか!?俺らもサッカーばやっとるんですよ!!」
「俺のポジションは〜」と違うことを話し始めそうになる昭栄に対して、「話ば脱線さすな!」と言って再びカズさんの飛び蹴りが炸裂。
思いっきり頭に当たった昭栄は、頭を抱え蹲まっていた。
「あの二人ば気にせんでええけん」
「あっ、うん。で、合宿があったんだけど、その前の日に捻挫しちゃって。
怪我したのを皆に隠しながらやってたら悪化しちゃったんだ」
「あはは〜」と笑いながら言ったら何故か皆シンッ――と静まり返った。
「えっと・・・・」
「このドアホ!!きさんは何やっとうね!!
仮にもマネやっとったんなら、捻挫の怖さ知っとっちゃろ!?
こない大事になりよってからに、笑い事じゃないけん!!!」
「カズさんストップ!!」
「相手は女の子ですたい!」と言いながら、昭栄はカズさんを羽交い絞めにした。
は吃驚して呆然としている。
するとヨッさんが近づいてきて、の肩をポンッと叩いた。
「、大丈夫か?」
「・・・うん。吃驚した」
はカズさんのほうを見ると、丁度昭栄の腕の中から抜け出して彼の頭を思いっきり殴ったところだった。
そしてカズさんはに近づく。
ヨッさんはカズさんとすれ違いざまに彼の肩を軽く叩き、そして昭栄に近づき声をかける。
「昭栄大丈夫か?」
「オス・・・」
一方カズさんは眉間に皺を寄せ、に近づいた。
「なして黙っとったと?」
多少怒りが収まったらしく、声のトーンを戻っていた。
けれど眉間に皺が寄っているため、不機嫌さがにじみ出てる。
あまりの剣幕に少し圧され気味のだが、真っ直ぐカズさんを見て自分の思いを語り始める。
「・・・皆の手伝いしたかったんだ。
あたし、まぁ成り行きでマネージャーになった感じなんだけど。
でも皆と一緒にサッカーやってて凄く楽しかったんだ。
もちろん同じフィールドに立ってプレーをするわけじゃないけど、マネージャーやっててサッカーが好きになったんだ。
それであたしがマネをやるはずだった合宿って、皆にとってはすごく大事な合宿で。
だから、あたしの怪我なんかで心配させたくなかったんだ」
目をそらさずはっきりと告げると、カズさんの眉間にさらに皺が寄る。
「カズの負けやな」
いつの間にか近くに居たヨッさんが言った。
「せからしか。いいからとっとと帰るぞ」
カズさんはそう言うとすたすたと歩き始める。
「えっ、ちょっカズさん!?」
は「それじゃあまたね!」と二人に声をかけ、急いでカズの後を追った。(じゃないと、家に帰れない!)
「さっきは怒鳴って悪かったな」
二人が見えなくなり、日も十分傾いたころ。
前に居たはずのカズさんは立ち止まり、の前に立った。
自然との歩みも止まる。
「ううん。あたしのために言ってくれたことだし。ありがとね」
「別に・・・」
礼を述べると、カズさんは顔を真っ赤にしてぷいっと横を向いた。
可愛くて思わず声を押し殺しながら笑っていると、カズさんに思いっきり頭をかき混ぜられる。
「ちょっ、カズさん!?」
はカズさんのかき混ぜる手をやめさせようと思うが、両手には松葉杖があるため抗議の声を上げるだけだった。
すると急にカズさんの手が止まり、どうしたのかと思い顔を上げた。
「・・・カズでよか」
「え?」
「こっちはって呼ぶけん。だから俺のことカズでよか」
それだけ言うとカズさんは顔をすぐに前に戻し、また歩き始めた。
照れてることを感じ取ったは笑みを零し、カズさんの横に行く。
下から覗き込むように彼の顔を見ると、目がばっちり合った。
「これからよろしくね、カズ」
「ああ、よろしくな」
笑みを浮かべながら言うと、カズさんは笑い返してくれて。
夕陽と重なりながら笑う彼はとても綺麗に見えた。
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なんとか仲良くなってくれた。
ってか、長いな自分。
カズさんの愛がいっぱい詰まってる気がする。(←キモッ)