プルルルル、プルルルル・・・ガチャッ
『はい、椎名です』
「も、もしもし?・・・、ですけど」
『!?久しぶりね!元気にしてた?』
「あ、はい。お久しぶりです、玲さん」
電話に出たのは玲さんだった。
翼が出たらどうしようかと思っていたので、少しほっとした。
『怪我のほうはどう?』
「おかげさまで、順調に回復してます。あの・・・翼、どうしてますか?」
『相変わらずよ。元気にしてるわ』
「よかった・・・。黙ってきちゃったから怒ってるかなと思って・・・」
『怒ってないわけないだろ』
「つ、翼!?」
驚きのあまり、声が裏返る。
さっきまで玲さんと話してたはずなのにいつかわったのだろう。
『久しぶりだね、。元気だった?
って元気っていうわけではないか、怪我してるんだしね。
まぁ今まで休みってあんまりなかったんだし、そっちでゆっくりと休養してくるといいよ。
もそのほうがうれしいんでしょ?
なんたって何も言わずに出てったんだから』
「つ、翼・・・」
『それで。一体何の用なわけ?
俺忙しいから用があるなら早くしてくんない?』
翼の言葉が胸に突き刺さり、思わず言葉が詰まる。
今までこんな態度を取られたことがなかっただけに余計辛い。
嫌われたかもしれないと思うと自然と目に涙が溜まり、悲しくなってきた。
「・・・ごめん、翼・・・傷つけて・・・ごめん・・・・・・」
『・・・・・・』
「・・・今までお世話になったりとか、迷惑かけてきたから。
だから、これ以上重荷になっちゃダメだって思って・・・
翼のことだから見送りに行くっていいそうだったし。
それに都大会も近かったからあたしのことなんかよりもそっち優先して欲しくて。
って言い訳くさいね。・・・ほんとごめんね」
自分で言っててどんどん悲しくなった。
最後のほうなんて声がすごく小さくなってしまった。
黙りこくっていると、受話器の向こうでため息が聞こえた。
思わずびくっと体が震える。
「見くびらないでよね。
を見送る時間を惜しまなきゃいけないほど俺は弱くないよ。
そんなことより俺にとってはのほうが大事なんだからね。
・・・迎えは絶対に行くから」
「・・・うん。ありがとう」
うれしくて涙が出そうになる。
声が震えそうになったけど、なんとか大丈夫だった。
バレないようにとわざと口調を強くする。
「でも、何でだれも連絡くれなかったの?皆あたしの携帯の番号だって知ってるのに・・・」
『ああ、それは俺が連絡するなって言ったから』
「何それ!?ひどい!」
『ひどい?ひどいのはどっちだよ、いきなりいなくなったくせに。
俺がどんな想いしたと思ってんだよ』
「うっ」
『何にも言わずにいなくなってさ。
練習終わったあと玲に聞かされて、家に急いで帰ったらほんとにいなくなっるし。
しかもお前の荷物もなくなっててさ。
まっ、どうせのことだから俺がすぐに連絡してくると思ってたんだろ?
お生憎さま。の考えなんてお見通しだよ。
そっちから連絡してくるまで俺からは絶対しないことにしたんだよ。
ついでに他の奴にも釘刺しといたし』
「・・・翼の意地悪」
『何とでも』
久しぶりの会話。
楽しくて笑いがたえない。
『それで、怪我の具合どう?』とぶっきらぼうに聞いてくる翼に思わず笑みがこぼれた。
ありがとうね、翼。
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