脱走事件(?)から数週間。
何だかんだで色々あったけど、退院できることになりました。
そして今日はその退院の日。
荷物の整理をしていると大きな花束を持った昭栄とカズやヨッさんがお祝いしに来てくれました。






さん!退院おめでとうございます!!」
「ありがとう」






花束を受け取り、笑顔でお礼を述べる。昭栄やカズたちは笑顔を浮かべていた。





さん、ちょっといいかな?」
























「いきなり呼び出してどうしたの?」
「ちょっと、な」



呼ばれて振り返ると、白衣に眼鏡という医者の格好をしたカミサマがいて、胡散臭い笑顔でを呼んだ。は一瞬目を見開いたが、何事も無かったようにその指示に従った。
案内されたのはとある診察室。中には誰も居らず、カミサマは中に入ると医者が座る椅子に腰掛けた。



「まぁ、とりあえず座れ」
「はいはい」



は近くにあった、患者用の椅子にカミサマと向き合った形で座った。



「こんなところに連れてきてどうしたの?ってか、ここで話しても平気なわけ?」
「ここは今使ってねぇから大丈夫だ。俺がお前をここに連れてきたのは『これから』についてだ」
「『これから』?」
「あぁ。お前、今体平気か?」
「?この怪我以外別になんともないけど」



そう言って自分の足を指差す。カミサマはうんざりしたように「そうじゃなくって」と言った。



「そういうんじゃなく、頭が痛いとか体が透けるとか」
「透けるの!?」
「可能性の話だっつの。あるのか、ないのか?」
「ない」
「なら、いい」
「いやよくないから」



「詳しいこと教えてよね」という目と笑顔をカミサマに向けると、カミサマははぁとため息をついて自分の頭の後ろをがしがしと掻いた。



「お前、最初この世界にどうやってきたか覚えてるか?」
「いや全然」
「・・・」
「嘘だよ、嘘。確か手紙が届いて、それに『ここ』のことを書いたら本当に『こっち』に来ちゃったのは覚えてるよ」
「その手紙の内容は?」
「全然覚えてない(きっぱり)」
「(やっぱり)・・・異世界のチケットが当選したって書いてあったんじゃないのか?」
「・・・あぁ!そうそう!確か書いてあった気がする」
「(ほんとに覚えてんのかよ)最後に書いてあった文は?」
「・・・」
「・・・」
「えへv」
「・・・はぁ。・・・『よい旅を』」
「あ、うん。書いてあった!」
「・・・お前、『旅』っていう意味分かるか?」
「『旅』?」
「旅。住む土地を離れて、一時他の土地に行くこと。
・・・旅はいつか終わりが来る。いつかは帰らなければいけない。



お前の旅もいつかは終わる。



それがいつか、お前にも分かるよな?」



「!!」





ズガンッと頭に衝撃が走った。死刑宣告をされたような感じだ。
その言葉が、その言葉の意味が、に重くのしかかる。



旅の終わり。それ即ち、物語の終わり・・・



「・・・トレセン・・・?」
「きっと、な。一応、トレセンの3年後の話があるが、きっとそれまでお前の体は・・・
まっ、はっきりしたことは言えねぇ。俺にも分からねぇことだからな」
「もしかして」
「あぁ、『その時』が近づくとお前の体に変化が起こるはずだ。こっちの世界に適応できなくなって体にひずみができていく」
「・・・」
「どうにか力になってやりたいところだが、これだけはどうすることもできねぇ。だから、



今できることをやれ」



「俺が言えるのはそれだけだ」と言って、カミサマは部屋から出て行った。



どうして・・・
今更、彼らから離れろって言うの?二度と彼らに会えなくなるなんて・・・
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ!これからも一緒に笑って、泣いて。もっとずっと一緒にいたい!
離れたくなんかないよ!!



一筋の涙が頬を伝う。
遣る瀬無くて、どうしようもなくて。
気づいたのに。
やっと気づいたのに。






「     」














この想いを伝えることは罪ですか?
この想いを告げることさえ許されないのですか?












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