西浦での練習が終わり、思わずため息が出てしまった。



「どうしたの?」
「百枝さん」



百枝さんが隣に来る。



「実は今日、元希が家に来るんです」
「春名くんが?」
「はい・・・だから家に帰るのがちょっと、気が重くて・・・」
「いつかはきちんと話さないといけないことでしょ?」
「そう、ですけど・・・」



「お前に俺の気持ちが分かるかよ!」



無意識にぎゅっとこぶしを握る。



「・・・きっと大丈夫よ」
「百枝さん・・・?」
「仲直りしたい気持ちがあるんなら、きっと大丈夫。
何があっても私はの味方だから」



「その時は相談しなさい」とやさしく抱きしめられる。
そうだね、一人じゃないんだし。
きっと元希とも仲直りできるよね。



「ありがとう、百枝さん。頑張ってみるよ」



にっこり笑って言った。
百枝さんも笑って答えてくれる。



「それじゃあ、また明日」
「ええ」



こうして私は岐路に着いた。






































「今日お前の家で待ってるから」



その言葉通り、家に帰るとすでに元希が来ていた。



「お帰り」
「・・・ただいま」



かばんをおろし、手を洗いに洗面所に向かう。
元希はソファに座りながらテレビを見ていた。
せっかく百枝さんから勇気をもらったのに、元希を前にするとどうしてもなえてしまう。



「元希夕飯は?」
「食べてない。ん家で食おうと思ってたからな」
「そ。何食べたい?」
「何でもいい」
「わかった」



元希の言葉を聞いた後、私はさっさと台所に引っ込む。
一人暮らしにも慣れたもので、どんどん料理が出来上がった。



「元希、出来たから運ぶの手伝って」
「ああ」



元希にも手伝ってもらってテーブルに料理を並べていく。
夕飯を食べてる間も、私たちは始終無言。
気まずい雰囲気が流れた。














夕飯も食べ終わり片づけをしたあと、私たちははテーブルを挟んで向かい合わせにソファに座った。



「なぁ」
「・・・何?」
「どうして、黙って出てったんだ?」
「・・・」
「どうしてオレの傍から居なくなったんだよ!?」
「・・・」



元希の怒鳴り声が部屋に響く。
私に投げかけてくる言葉をどこか他人事のように聞いていた。



「前、にさ。
私に『お前に俺の気持ちが分かるかよ!』って言ったことあったじゃない?」
「あれは・・・」
「あの言葉言った後さ、元希の顔を見て本心じゃないってちゃんと分かってたよ・・・」
「なら!」






「でも!悲しかった!!



本心じゃなくても、心のどこかでそう思ってたんでしょ!?



・・・一番傍に居たのに、元希の気持ち分かってあげられなかった。
荒れてく元希をただ見てることしか出来ない自分が嫌だった!






・・・3年の終わりごろには徐々に元希に笑顔が増えたけど、でも私は自分が許せなかった。
だから家からも野球からも離れた。



私にとって野球は元希との繋がりだったから」






















涙が止まらない。
何が悲しいのかもうわからない。
私はただ溜めてた気持ちをすべて吐き出した。



ほんとはずっと一緒に居たかった。
でものうのうと元希の傍に居ることは出来なかった。
元希は私にとって一番大切な家族だから。一番大好きな人だから。
だから、その人を一番わかってるのは自分だって思ってた。
でも実際は違った。
私は何も分かってなかった。
一番近くに居たくせに、何も理解してなった。



そんな自分が一番嫌いだった。






























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