俺は一度ものことを忘れたことはなかった。
あの約束を、忘れたことはなかった。
Time left behind to me 〜私に残された時間〜 12
2年前―――
「やったじゃねーか!!三っちゃん!」
「すげーよ!マジで中学MVP取っちまうんだもんな!」
表彰式が終り、大はしゃぎをするのは優勝した武石中の男子バスケ部のメンバー。
その中の中心に彼、三井寿は居た。
「あんまおだてんなよ、おめーら。
まっ、俺はスーパ-スター三井だからな。俺がいる限り絶対に勝つ!」
三井は得意げに言うと、皆が笑顔になる。
彼らは三井の言葉を信じて疑ってはいなかった。
なぜなら、彼は実際にそれを真実にしたのだから。
「そういえば、確か女子のほうには2年連続でMVP取った奴がいるらしいよ」
「決勝では負けたらしいけど」と、その中の一人が言った。
女子も同じ会場で決勝戦を行っていてのだが、どうやら女子のほうが男子のほうより先に終わったらしく、
既に女子のMVPは決まっていた。
また同じ場所でやっていただけあって情報が早い。
彼らはその事実に驚き、凄い凄いと連呼した。
だが、三井は違っていた。
「でも女子だろ?俺の敵じゃねぇーよ」
三井にとって女子のほうに興味が無かったわけではないが、彼には『女子は男よりも弱い』というイメージが強かった。
そのため三井にはそれほど凄いと思えなかった。
三井がそう言うとメンバーは驚いた顔をするが、次の瞬間「そうだよな」と彼の言葉に同意した。
「三っちゃんが女子に負けるわけねーもんな!」
「そうだよな!」
「当然だろ。俺が女子なんかに負けるわけねーだろ」
「それなら、あたしと勝負してくれない?」
ばっと振り向くと、そこに立っていたのは、一人の女の子。
彼女はジャージの前を全開にして、両手をポケットに突っ込んでいる。
ジャージの下にはユニフォームを着ており、彼女も選手であることが分かった。
「初めまして、三井寿くん。あたしはって言うの。どうぞよろしく」
が名乗り手を出されたので、「どーも」と言いながら三井も手を出し握手をする。
すると男の子が指で刺しながら「あー!」と大声を上げた。
「君、もしかして2年連続MVPの子だよね!?」
「そうよ」
はにっこりと笑った。
武石中のメンバーは先ほどの自分たちの無責任な発言を思い出し、冷や汗をかき始める。
その中で三井のみが堂々としていた。
「それで、なんか用なのか?」
「さっきちょっと聞き捨てならない言葉を聞いてね。女の子を甘く見てるようだから勝負してもらおうと思って」
「俺は試合の後で疲れてんだ。やらねーよ、そんな勝負」
三井はきっぱりとの申し出を断った。
するとはがっかりした様子はなく、逆ににやりとニヒルな笑みを浮かべた。
「へぇ、逃げるんだ?
まぁ、『女子なんか』に負けるのは嫌だもんね?
せっかくMVPまで取ったのに女の子と勝負して負けたら一生の恥だもん。
そりゃ怖くて逃げちゃうわよね〜」
そう言ってはクスッと小さく笑った。
その瞳からは馬鹿にしているのがありありと映し出されていた。
「上等だ!絶対に勝ってやる!!」
こうして二人は出会った。
彼女は、MVPをとっただけあってとても上手かった。
勝負はとても白熱したものとなり、最終的にはが勝利を収めた。
そしてそれ以降、たまに会っては勝負をしたりした。
お互いがお互いをライバルだと思っていた。
彼女とバスケをしている時は普段とは違うスリルがあり、とても楽しかった。
しかし、それも長くは続かなかった。
<< ◇ >>