「どういうことだ・・・」
俺は衝撃の事実を知らされた。
信じられなかった。
幸せはこんな簡単に失われてしまうのだと、この時初めて知った。
Time left behind to me 〜私に残された時間〜 13
三井は病院にいた。
そして、彼の目の前のベッドにはが横たわっていた。
彼女の目からはたくさんの涙が流れ続けている。
「・・・あた、し・・・もぅ、・・ヒック・・・バスケ・・・・・・でき、ない・・・ん、だって・・・・・・」
泣き続ける彼女。
三井は信じられなかった。
は病気にかかっていた。
その病気は激しく運動をするとすぐに息が切れやすくなり、発作を起こして呼吸困難になってしまうそうだ。
またその病気は最近発見されたものらしく、詳しいことは分かっていないため他にどんな症状がでるのかわからない。
だから当然治療法も見つかってなく、どうすることもできない。
普段の生活には支障はないらしいが、の身体はもう今までのようにバスケをすることはできない身体になってしまったのだ。
その驚愕の事実を聞き、三井は言葉をなくした。
彼にはなかなかその言葉を受け入れることはできなかった。
だが、きっとそれは彼女も同じで、いや自分以上にこんなことを受け入れることはできないだろう。
一緒にバスケをやって彼女がどんなにバスケが好きなのか分かっていたから。
「・・・ぃらない・・・・・・・」
「?」
「もぅ・・・・バスケ・・・でき、ない・・・なら・・・・・こんな、体・・・・・いらない・・・・・
バスケが、ヒック・・・出来、ないのに・・・ック、生き、てたって・・・・・・意味、なぃ・・・
死ん、・・だ方が、まし・・・だよぉ・・・・・・・」
小さな声でもう一度「死にたい」と言い、彼女は声を押し殺して泣き続ける。
「馬鹿野郎!!」
三井は大声で怒鳴った。
驚いたは何とか声を押し殺し、少しだけ顔を上げた。
彼を見ると、瞳からは一筋の涙が流れていた。
「何でそんなこというんだよ・・・
何で・・・っ!
俺はお前に死んで欲しくなんかねぇよ!
たとえ一緒にバスケ出来なくても、それでも一緒に居たいんだよ!!
頼むから・・・そんな悲しいこと、言わないでくれよ・・・・・
俺の傍から居なくなるなよ!!」
この時、俺は気付いたんだ。自分の気持ちに。
が好きだったんだってことに。
だから、俺はに希望を捨てて欲しくなかった。
生きる事を諦めて欲しくなかった。
俺はいつまでもアイツの笑顔を見ていたいと思ったから。
アイツの元気な声を聴いていたいと、思ったから――――
「・・・俺がお前の分までバスケをする。高校に行っても絶対MVPを取ってやる。
お前が行きたがってた全国に、お前の代わりに、俺が絶対全国に行く。
お前を全国に連れてってやる!」
三井は涙を拭き、力強く言い切った。
の瞳からはさらに涙が流れていくが、けれども彼女の顔からは希望という光が差し込んだ気がした。
「・・・ほ、んとぅ・・・に・・・?
ほんとに、あたしを・・・・全国に、連れてって・・・くれる?」
「あぁ、約束だ」
その約束をして以来、には会わなかった。
今度会う時は全国に連れて行くときだと約束したから。
だからお互いにどこの高校に行くのかも話さなかったし、連絡も取らなかった。
それから、俺は自分の気持ちをに告げなかった。
今言ったらアイツの重荷にしかならないのは目に見えていたから。
そして2年の月日が経ち、二人は再会した。
でも、出来ることなら、こんな形では会いたくなかった。
<< ◇ >>